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チリウヒーター

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BOSSのひとりごと 2019年2019

190614 天井断熱で暑さを防ぐ 

 昨年のように猛暑に悩まされると、2階が猛烈に熱くなった家が多かったはずです。そこで思わず屋根を睨みつけて、薄いカラースレートじゃなくて瓦葺にした方が良かったんだろうか、天井に十分な断熱材が入っていないのかな、だから屋根に照り付けた太陽で2階が熱くなるのだな、と誰しも思うものです。昔のことですが、地場工務店が建売した同じ家が並んでいるうちの1軒に知人が住んでいました。日頃から夏は2階が熱いとこぼしていたので、2階天井にセルロース断熱材を吹き込むことを薦め、自分で施工できるよう装置を貸してあげて、彼は休みの日に天井をしっかり断熱しました。ちょうど夏だったので、2階の変化を聞いてみたところ、全く変わらないとの事で大ショックでした。天井を断熱すると、太陽で焼かれた瓦の熱が天井板に伝わり天井板が熱くなるのを止めて改善される筈でした。そこで、天井板の温度を測りました。隣の天井に断熱していない家とこちらの家の天井板温度を比較したのですが、どちらも同じでした。そんな馬鹿な!!
 住宅全体の壁や窓の断熱力が弱いと、内壁や窓ガラスの内面が熱くなり、壁やガラス周辺の空気が熱くなって上昇気流となってついには2階に貯まってしまう為、天井だけを断熱しても効果がなかったことが分かりました。家を居心地よくするには、床も壁も窓も天井も、全体としてしっかりした断熱でくるむことが欠かせないのです。
 
 天井のセルロース断熱(左) と 壁のセルロース断熱(右)

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1906 フェークニュース その2

 3年前のアメリカ大統領選挙は現大統領トランプとヒラリー・クリントンとの闘いでしたが、その選挙戦直前にこんな話がネット上で広がりました。ワシントン市のあるピザ店コメットピザの地下室でクリントン女史が小児売春屋を開いていて、民主党幹部など多数がここを利用している、と言う話で、これを信じた人が銃を持ってこのピザ店を襲ったりしましたが、元々このピザ屋には地下室などありません。結局これはロシア情報機関から巧みに発信された偽情報だったのです。冷戦時代のソ連KGB(諜報機関)はこうした偽情報により他国の国力を分断する作戦に力を注いでいました。
 1983年7月インドの新聞に「エイズウィルスは黒人や同性愛者を殺すためにアメリカ政府が開発した」と言うニュースが掲載されました。これが数年後アフリカ広域に拡がり、遂には87年全米の大手ニュース番組でも報道され世界中に広まったのです。更に、中南米で誘拐された子供たちはアメリカで臓器を取り出されている、ケネディ大統領を撃ったのはCIAだ、アメリカはローマ法王の暗殺を計画しているなどなど。冷戦終結によりソ連のこうした活動は終了と思われたのですが、その後権力を握った元KGB局員のプーチンにより偽情報作戦はフェースブックなどのSNSの普及にのって更に活発になり、ピザ屋の話もその一部らしいのです。ネット情報は便利なものではあるのですが、使う側にはそれなりの自衛が必要であることは承知しておきましょう。

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190515 戸建て住宅の特権―土いじり

 せっかく地面を自由に使えるのが戸建て住宅の大きなメリットですから、観賞用の美しい庭を作ってもらうだけでなく、花壇でも菜園でも自分でいじって楽しむのも戸建て住宅の特権です。そうして自分で植物を栽培してみると、「土」がとても重要なことが分かります。植物にとって「根」が重要だからで、良い土にするには肥料さえ多量に入れれば良いというものでなく、根が伸び易くすることが重要。それには堆肥が良いようです。筆者は落ち葉、選定した庭木の葉、抜いた雑草、台所の生ごみなどを全部積み上げて堆肥を作っていて、貝殻と鳥の骨は生ごみに出しますが、それ以外は一切門外不出です。こうして作った大量の堆肥を春秋の植え替え時期に全部畑に鋤き込みますがもともとはやせた土でいい野菜は出来ませんでしたが、自家製堆肥を何年も鋤き込み続けた結果、土は黒々となり野菜の味も驚異的に美味しくなりました。具体的な堆肥作りの方法はまた別の機会として、小さな面積だけで試したい方には、生ごみを直接土に埋めてしまうのが簡単です。地表から空気が浸透して好気菌が活動できる深さ10~15㎝程度、半年もしないうちに何を埋めたか分からなくなります。おまけに生ごみの袋をカラスに破られる心配もありません。植物の根と生ごみが直接触れるとよくないので少し離して埋めましょう。台所ではビニールが混ざリ易いので要注意。これぞ現代の世界的大問題、プラスチックごみ問題です。

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1905 フェークニュース

 旧ソ連から独立したジョージア(旧称グルジア)は大国ロシアとトルコに挟まれた小国ですが、その首都トビリシ郊外にアメリカの資本が入った研究所があり、これが実はアメリカ軍の秘密研究所で、そこの薬品の人体実験により何十人もが死んでいるという話があります。これがロシアのテレビで放送され世界は大騒ぎになりました。このニュースの情報源はジョージア情報省のトップで元ソ連KGB出身、今はロシアに亡命しているギオルガゼ氏です。氏はこの研究所の漏洩文書だとしてウエブ上に証拠を公開しました。ジョージアでアメリカの試験されていない薬品が人体実験され多数の死者が出ているというのです。事実とすれば世界的大事件です。BBC放送は特派員を派遣して、その元々の文書を作った人物を見つけました。彼は、この文書はC型肝炎の治療薬の研究をしたときのもので、世界に公開され、その問題の薬は、WHO世界保健機構にも登録されたもので、その結果3万6千人が治療され、治療できず死んだ人が2百人だったと証言しました。政府所有の研究所は危険病原漏洩防止のためアメリカ国防省が建てたものですが、ロシアはその2階を米軍が使っていると報じました。調べたらそれも嘘でした。ドローンを使って毒性のある蚊を散布しようとしているとも報じられましたが、これまた嘘でした。米軍がらみと言うと本当っぽいですが、実はこれがプーチン氏得意の、疑惑を煽るためのフェークニュース作戦なのです。

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190425 思い切った壁の色を楽しむ

 日本の最近の住宅の壁の色は外壁も内壁も殆んどが淡いクリーム色かそれに近い色で、区画整理などで新興の街並みが出来ると、そっけない規格的な街並みが出来ます。内装も同様で、どの家もクリーム色かそれに類する色のクロスが殆んど、これが常識みたいになってしまい建て主もそれ以外の色にする度胸はなかなか出ないものです。では日本の昔の住宅はどうかと言うと、遊郭などは意外に派手な色を使っていました。遊郭は別にしても壁土の色でアクセントをつけるのは伝統的に行われていました。一方、西洋では当たり前のように思い切った色を内壁に使う例は多く、これがなかなかの味わいを出しています。1938年に米国でローラー塗装が発明され塗装が簡単になって以来、住宅の内壁塗装を自分で塗り替えることが一般的になったことも、壁の色がバリエーションに富んだものになるのを助長しました。添付の写真は強い色を使った部屋の例です。赤い2件は日本での実例、他の2つはアメリカの例です。次の機会に、今のビニールクロスの上から色を塗る方法を解説します。思い切って一部屋やってみては?

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190410 窓は冷えの元凶

 夏もさることながら、特に寒い季節になると窓はその方位や大きさによって諸悪の元凶にもなります。家を建てるときは「明るい家」に憧れて窓を大きくしたくなります。雑誌などの写真も眩しい程に明るい写真ばかりなので尚更で寝室や子供部屋などにも大きな窓を付けたくなります。でもよく考えれば、明るい昼間はお仕事や学校で不在、家族が集まるのは暗くなってからが多いもので、朝日が差し込む寝室は眩しくて仕方ありません。街を見下ろす急斜面にある家の浴室の例ですが、シャワーをしながら眼下に広がる夜景を見ようと、上から下までの大きなガラス張りにしました。夏はガラスに水滴が付くものの夜景も見えたのですが、寒くなったら結露で何も見えず、ガラスからしんしんと寒さが滲み込んで到底のんびりできるお風呂ではなくなってしまったと言います。
 最近は住み心地をよくするために高断熱が普及してきましたし、窓も樹脂サッシとかLow-eガラスとか高性能になってきました。それでも大きな誤解があります。断熱した壁と性能を比べると、最高級Low-eガラス入り樹脂サッシ窓でさえ4~7倍も寒さの侵入を許してしまいます。適正な窓面積はこうです。
 「家中の窓・ドアなどの開口面積」÷「1階・2階の広さの合計」を20%以下に抑える。温もりが入り夏は日差しが入らない南窓は大きくしても、夏の暑さがしっかり入り冬にはご利益の無い東西窓を小さくすれば楽にクリアできるものです。ご自宅を計算してみましょう。

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1904 世界の半分の国が出生率減少に悩む

 かつてベビーブームと言う言葉は耳慣れたものでしたが、今やベビーバスト(日本語にすると出生減による社会危機)と言う言葉が問題になってきました。世界の半分の国が出生率低下に悩んでいて、現在の人口を維持するのが困難になるという問題に直面し始めました。世界平均で見ると、1950年の女性一人当たりの出産は5人でしたが、2017年には2.4人と半減しています。出生率世界最低はキプロスでは女性一人当たり1人、多い方では西アフリカのニジェールで7人以上です。途上国では多産が経済成長や社会安定の阻害要因になっていますが、EU、日本、韓国、米国などでは今の人口維持ができずこちらの経済・社会問題になります。ワシントン大学のマリー教授は何が原因であるかは分かっている、と言います。社会が成長し、女性の教育レベルの向上、良好な医療体制、5才以下の小児死亡率低下などが進むと出生率が下がるという明らかな傾向があるそうです。こうした社会の成熟自体は好ましいことなのですが、しかしその結果として起こる現在のような出生率低下は、高齢層の人口と若年層の人口とが頭でっかちになり、若年層としては高齢者が多い社会を経済的に支えることが困難に、過重負担にだんだん耐えられなくなるという問題を引き起こします。まじめに移民受け入れを考えなくてはならないときかもしれません。それとも人口減少でも成り立つ社会を作るか。難しい問題が眼前に迫っています。

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190318 農業を助ける果物乾燥機

 アフリカは果物などの大産地であることは想像できますが、実はその生鮮野菜や果物の半分は食卓に乗る前に腐って捨てられていて、農民は貧しい暮らしを強いられています。もっと困ったことに、ウガンダでは過去20年にも及ぶ苦しい流血の紛争が、農業生活を殆ど破壊してしまいました。しかし、ある工業学校の学生が、この問題に一石を投じようとしています。農業をしている彼の伯父さんに何が問題なの、と聞くとせっかく作物が出来ても保存することが出来ず大半を捨てることになるとの事。実際、市場で見る野菜や果物もその1/3は明日になれば腐って捨てられることでしょう。そこで彼は乾燥ボックスを作って販売することにしました。鉄パイプで枠を作り薄っぺらな鉄板を張った手作りの箱の中に棚を作り、下に熱源として炭火コンロを入れます。まだ7台しか売れていませんが1台は伯父さんが買ってくれました。今では伯父さんは毎日これで作物を乾燥していますが、市場では2つで500シリング(15円)にしかならないマンゴーが乾燥すれば1つで1000シリング(30円)、こうして収入は4倍になりました。今までは捨ててばかりで貧しく苦しかったけど、と伯父さん。大量に捨てていた作物も節約できて収入も増え、農園に家を建てることも出来ました。学生君はこれを周りの村や国にも売ろうと言っています。まだまだ国内製の器具は信用されませんが、こうしてアフリカは少しづつ変わろうとしているのです。
フルーツを乾燥する伯父さん

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1903 窓の向きで住み心地が変わる

 窓は明るさ・景観と言う役割のほかに、温もりや暑さを取り込む機能もあります。住み心地を考えるとき、窓の向きはとても重要で、太陽の高さや方向と合わせて考えなくてはなりません。昔の冷暖房がなかった時代には冬暖かく夏涼しいように大工さんは太陽の向きや風を考えに入れて家を建てていましたが、今日建て主の嗜好重視によりそれが顧みられなくなっているようです。冬の太陽は、南の空を低空飛行するので家の南面にはたっぷり温もりが届きます。昔の家は南の開口が大きく、縁側で日向ぼっこをしたものです。しかし東西の窓には大したエネルギーは届きません。夏になると太陽は高くなり、南窓には殆ど日が当たりません。ただ地面や向いの家が熱くなりそこから照り返しが家に入ってきますが、今どきのLow-eガラスはその暑さを遮断します。しかし午前午後の太陽は東西やや北よりから家の東西壁をあぶるので、東西向きの窓を大きくするとひどい目に会います。これは昔から「西日」と呼ばれ嫌われていたものです。こうして見ると正しい窓の配置が浮かび上がります。南の窓は大きめにとって明るくし、冬の温もりを取り込みます。東西の窓は縦長の細い明り取り程度にとどめ、夏の暑さを防ぎます。北の窓は、風通しが主目的で、南の窓との間で風が通り抜けられるようにします。こうすると昔の大工さんの家に近づくところが面白いですね。
(冬) (夏)
 冬の陽は南面を暖めてくれ、夏の陽は東西と屋根を焼きます。

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190218 自殺が増え続けるアメリカ

 ここ20年、先進諸国で45~54才の死亡率は2/3程に低下してますがアメリカの白人は逆に増加中で、死亡原因は薬物・アルコールの過剰摂取が1位、自殺が3位でいずれも急上昇中です。年間4,500人、殺人の2倍が自殺しています。自殺者の身内は普通の3倍の自殺可能性があるため、自殺者の子供たちが集うキャンプを定期的に開催して心のケアを行う団体がいくつもあるとか。モンタナ州は自殺最多の州。BBC放送の取材にある男性は「アメリカは競争社会、勝つことが良いとされ、自由世界を守るため戦うのだとされてきたけど、本当はそんな競い合いが嫌いな自分のような者が多い。金持ちにもなれず、仕事もなくなると落ち込んでしまう」と語ります。「自分も自殺を決意し、銃に自分と愛犬用に2発弾を込めたけど、その犬にじっと見つめられて思いとどまったよ」と。アメリカ中西部の白人の立場はこのようなものなのに、世界の迷惑男トランプの「アメリカを再び偉大な国に」という掛け声に夢再びと票を投じます。しかし彼等の住む地域は移民が僅かしか来ない地域で移民のせいではありません。アメリカの大半が産業構造の変化に乗れなかったからでトランプ主義では何ともならないのです。0.1%の人が保有する富が下位90%の保有する富と同じで、上位20人が保有する富が国民の半分が所有する富に等しいという歪んだ国なのに、その下層の人達が大富豪の大統領を支援するとは民主主義とは何か?と疑問を抱きます。
 中日新聞18.09.23 より

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1902 内付け窓で住み心地改善

 最近の住宅は高性能化が進み、窓もLow-eガラスとか樹脂サッシ等が当たり前になってきました。ちなみにLow-eガラス入り樹脂サッシは旧来のガラス1枚のアルミサッシの4倍も保温力がありその上隙間風もありません。でも何年も前に建てた家に住む人は?。一番のお勧めは今ある窓の内側に「内付けサッシ」を取り付けることです。どうせなら樹脂サッシLow-e入り2重ガラスのものを付けましょう。割に安上がりで工事も簡単に済みます。保温力は3倍ほどに強化されるので、暖房や冷房の利きが大きく改善されます。結露も隙間風もなくなります。窓がダブルになるので盗難防止にも効果的です。外の騒音もびっくりするほど止まってしまい、その効果は強風のときなどにはっきり分かります。窓の開閉を2回づつするのが面倒ですが、面倒さは他の効果で十分打ち消されます。既存の窓を取り替えたい場合、サイディングなどの外壁材を外さないとできないことが障害になって窓の改善工事を諦める人が多いのですが、住み心地改善のニーズが高まってきたらしく、最近は古い窓の外から新しい窓を付加する方法、障子を外し枠は残したままその内側にLow-eガラス入りの窓を取り付ける方法など、いろいろな方法が出来るようになってきました。特に効果が大きい掃き出し窓はやるとして、他の窓も安い方法で良いのでやるべきです。でないとダウンジャケットを着てミニスカートになります(そんな女の子も見かけるけど)。

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190125 地震とブルーシート

 少し強い地震の後に被災地を訪れると、軒並み屋根にブルーシートが載っている風景に出会います。これは地震の揺れで棟瓦がすれてしまったための応急防水処置です。昔は和瓦の施工は瓦の下に壁土を置きそれに瓦を接着していましたが、今では屋根上に瓦桟という木材を取り付けそれに瓦を釘止めします。ところが棟瓦だけは背が高いので内部に土を盛って瓦を固定する方法でせざるを得ず、浮き上がりを防ぐために銅線で括り付けます。この程度の固定しかできないので、地震で強く揺すられると棟が崩れてしまい、特に地方の古い和風の家が多いところでは「軒並み」ブルーシートになってしまうのです。寒冷地では、焼き物の瓦を使うと水が浸み込んで凍結で割れるということで殆どが金属瓦で屋根葺きが行われます。また最近は殆どが平瓦や洋風瓦など釉薬のかかった水が滲みないものが使われ、棟瓦も小さいのでビス止めされています。残念に思うのは、あの日本古来の伝統美が失われてゆくことです。本来の和瓦は松材を(今はLPGガス)燃やして発生する炭素を瓦の表面から高温で浸み込ませてあの独特の銀色の風味を生み出しています。とはいえ、今や建物外壁も防火規制で同じような無国籍型になってしまいバラバラの家づくりが進むのですがそれが日本文化なんですかねー。昔変わらぬ形のレンガ色の瓦で家並みを整るヨーロッパを見ると寂しくなります。

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1901 源頼光館土蜘作妖怪図

 以前紹介したように、浮世絵に見られる江戸庶民の反骨精神はなかなかのもので政権の締付けにもめげずに昨今のマスメディアよりも元気に戦っていましたが、こちらもその一例。江戸市民が自由な経済活動で豊かになる一方で、米に依存する幕府の財政は寒冷期(小氷期)による大飢饉もあって厳しくなり、老中水野忠邦は1841年に不人気な贅沢禁止令と緊縮財政の天保の改革を打ち出します。鰻ダメ、女髪結いダメ、浮世絵ダメ、落語ダメ、綺麗な着物ダメなどなど。このあおりを食らって飯の食い上げになり、憤懣やるかたない天才絵師、歌川国芳が能「土蜘蛛」を題材に描いて江戸で大評判になったのが「源頼光公館土蜘作妖怪図」(ミナモトノヨリミツコウのヤカタにツチグモがヨウカイをナス図)です。病気の源頼光と家来の四天王を土蜘蛛が妖怪群を送って攻める絵ですが、江戸の人々はこの絵を、惰眠をむさぼる将軍家慶、悪政をする老中水野忠邦と三人の老中達と、悪令に苦しむ庶民の恨みが髪結いの妖怪、寄席を禁止された噺家の歯の無い(はなし)妖怪、うなぎ屋の妖怪、富くじの妖怪などに化した絵と読み取って、これこそわれらが憤懣を絵にしたものと大人気を博しました。5人の侍が誰々かは着物の家紋や模様で分かるらしいのです。絵師国芳が本当に風刺の意図をもって描いたかどうかは諸説がありますが、国芳も版元も「そんなつもりはありませんでした」と宣言し版元・伊場屋仙三郎は版木を処分して処分を免れました。だが既に巷には大量の絵が出回ったあとで、今では早稲田大学、ボストン美術館、オーストラリア国立図書館など世界中に所蔵されています。実は筆者も持っています。本物の江戸時代のものですよ。拡大された絵は下記で見られます。
http://nla.gov.au/nla.obj-151442970/view

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