本文へスキップ

チリウヒーター

Site Menu

お役立ち情報集INFOMATION

ここでは、家づくりに関する様々な基礎知識を、お役立ち情報として分かりやすくご紹介しています。ぜひ、家づくりの参考にしてください!

3 気密と換気

3.1 漏気(隙間風)・通気・換気

家の中の空気は、漏気(隙間風)・通気・換気の3種類によって外気と入れ替わります

漏気(隙間風)

漏気(隙間風)

通気

通気

換気

換気

昔の家は、いわば「カゴ」のような家で、風任せで勝手に空気が入れ替わっていましたが、戦後、石油ストーブなどの普及で部屋を暖める(暖房)時代になると、それでは暖房熱がどんどん逃げてしまうので、徐々に隙間風を塞ぐようになり、住宅の気密性が高まりました。しかしその一方で、換気不足が起こり、ダニの発生、アトピー症の増加、シックハウスなどが問題になりました。

そこで、家のあちこちにある「隙間」を塞いで「ビン」のような家(高気密住宅)にして、エネルギーの無駄遣いを減らしながら、窓を締め切った状態でも家の中の空気が良好に保たれるように「適正」な換気量を常に確保する「24時間換気装置」を設置することが、2003年建築基準法で義務付けられました。「適正な換気量」とは、「1時間に家の容積の空気を約半分づつ入れ替える」と良いことが、世界的な研究で分かっています。

3.2 通気と卓越風

通気

「通気」は、居住者が意識的に窓やドアを開けて家の中に風を通すことです。 住宅の高気密化が叫ばれたころ、「快適な季節には家に風を通したいから高気密は嫌だ」と言っていた人達が多かったのですが、これは誤解です。暖冷房期には閉ざしてエネルギーロスを減らすことと、気候が良いときは窓を開けて家の中に風を通すこととは別の話です。 「冬でも時々窓を開けて、家の中のよどんだ空気を入れ替えたい」と言う人もいますが、これは「換気」と「通気」の混同です。

締め切った状態でも家の中の空気質が良好に保たれるようにするのが「24時間計画換気」、窓を開け放って風を通すのが「通気」です。 家の設計にあたっては、「通気」を考慮すべきです。例えば南から入った風にはちゃんと北に抜けるよう風の通路を確保しておくことが必要です。

卓越風

卓越風とは、ある場所である季節に、最も頻度が多い風向の風のことで、住宅を計画する上で「通気路」確保のために、「卓越風」を参考にします。住宅を計画する地域の卓越風は以下のように気象庁のサイトで調べます。

左側の「都道府県選択」と「地点選択」で最寄りの場所を選んだうえで、右の「年・月ごとの平年値を表示」をクリックすると、平年の月ごとの風向と平均風速が分かりますので、「風通し」を楽しめる時期の風向きを知ることができます。

3.3 第3種換気と第1種熱交換換気

計画換気には3種類の換気方式があります。

第1種換気

第1種換気

第2種換気

第2種換気

第3種換気

第3種換気

第1種換気

屋内空気の排気と外気の給気との両方に換気扇を使います。多くの場合、屋内数か所に排気口と給気口を設け、換気扇装置とダクトで連結します。 寒冷地では、換気装置内部に「熱交換器」を有し、排気熱で冷たい給気を暖める「熱交換換気」が使われます。

第2種換気

外気の給気に換気扇を使い、排気は自然に押し出すものです。建物内圧を上げるので、屋内水蒸気が壁内部に侵入し易く壁内結露の危険性が高まるため、あまり採用されません。

第3種換気

排気に換気扇を使い、自然給気します。もっとも多用されます。 1台の換気扇でトイレ・浴室など屋内数か所の排気口から吸引排気するセントラル換気方式と、部屋ごとに換気扇と給気口を設ける場合とがあります。

3.4 適正換気量を維持するには

ダクト式のセントラル換気システムでは、トイレ・浴室・台所など空気が汚れる場所に排気口を設け、居室や寝室など新鮮空気の欲しい場所に給気口を設けます。
第1種・第3種とも屋内数か所に設けた排気口で毎時排気量を計測・設定して適正換気量を確保します。(図参照)

1F

1F

2F

2F

丸の中の数値は 各排気口の排気量 m3/h、各給気口の給気量は最大28m3/h

3.5 要注意! 部屋ごと換気方式の「換気扇OFF」「給気口閉止」

実際には、一般的に最も多用されているのは各室換気です。 各室換気は、機器が安価で、施工が容易、先の図のような換気計画も不要などの理由で採用されています。換気扇には傍らにスイッチが設けられ、また3段調節可能な給気口が設けられ開度設定は居住者に任されます。
この場合、適正量の換気が行われているのかどうか全く不明です。実際に居住されている新築住宅を視察にお邪魔すると、換気扇がoffになっている、給気口が閉になっている、などの家の多さに驚かされます。

本来「高気密」は建物全体の問題で個々の部屋の問題ではないのですが、建築確認審査の段階で部屋ごとの換気量を要求したため「部屋ごと換気扇」がはびこってしまいました。結局、「建物の空気を毎時約半分づつ入れ替える」という原則が消えてしまい、建築業者が「適正な換気を確保した家」を引き渡すということになっていないのは問題です。 換気は、ダニや化学物質など見えないところで健康に影響を及ぼします。金額差は小さいので、セントラル型第1種か3種換気にされることをお勧めします。

3.6 第1種熱交換換気の省エネルギー性

熱交換換気は「排気される暖房空気の熱を回収して冷たい給気外気を暖める」ので得するのですが、ではどれほど省エネルギーなのでしょうか。熱交換換気には「排気用と給気用と往復2基のファン」が作動するため「動力消費」が増えます。また、熱交換の不要な暖冷房していない時期も換気は運転を続けるので、その時も「動力消費」が無駄になります。

第1種熱交換換気と第3種換気のエネルギー消費の比較グラフ

6地域の暖冷房負担
3地域の暖冷房負担

6地域では暖房熱需要は確かに削減されますが、ファン動力が増加するため元の木阿弥。複雑な装置を付けるだけ損。
3地域以北の寒冷地では給気する外気温度が冷たいので暖房熱需要が削減され、ファン動力増加があってもお得です。

3.7 要注意! レンジフードファン(台所換気扇)

レンジフードファンの強運転の排気量は約550m3/hです。一方、40坪程度の家の必要換気量は140m3/h辺りで、給気口もその程度のものしか設けません。ではレンジフードファンで排気される550m3/hもの空気はどこから来るのでしょうか。解決策は

レンジフードファン
  1. 料理するときは近くの窓を開ける。
  2. ファンに連動して開くシャッター付き給気口をファン近くに設ける。
  3. 同時給排気型レンジフードファン(ファン連動のシャッター給気口を内蔵)を採用。