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チリウヒーター

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BOSSのひとりごと 2021年blog

12/7 イギリスのガソリンスタンド危機 

 9/25 英国D.A.さんのツィッター。「私は今、EU離脱による荒野の真っただ中にいます。運転手不足のガソリン不足。今朝もスタンドで長―い給油待ち行列。やっと先頭近くまで来たら「もう売り切れました」。後ろの車の男が怒ってガードマンに殴り掛かり、あっという間に10人位が路上で殴る蹴るの大乱闘。」実際、BBCテレビは給油待ちの長い車列を放映しています。石油大手BPが運転手不足で一部のスタンドを一時閉鎖せざるを得ない、と発表したのが引き金。閣僚は「ガソリンのマスコミ報道に世間が反応しただけで不足してはいない」と懸命です。この背景には10万人と言われる英国の運転手不足があります。トレーラーなど大型車の運転手不足は欧州全体で起きていますが、英国が特にひどくその影響を受ける原因がEU離脱、それを中心的推進者が現首相ボリス・ジョンソンです。同一圏内だった東欧から悪条件・低賃金で沢山来ていたトレーラーの運転手たちがEU離脱で帰国し、通関手続きで収入減少を嫌ってEU内へ戻ったり、コロナ大流行(英国はOECD諸国で最大の感染率)を嫌って帰国したが外国となった英国には戻らない、等々。絵は英国の必死の努力です。

もしもしボリスです。陛下は戦時中トラックを運転されたとお聞きしましたが…


誰かトレーラー運転できる人はいるかー?

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11/16 劣悪な日本の災害避難所 

 自然災害が多発する日本。その上にコロナ禍。万一避難生活となったら、日本の避難所生活は世界水準から離れた劣悪環境を覚悟しなくてはなりません。先ずスペース。世界では一人当たり3.5m2以上が基準。日本では国の基準はなく1.6~2㎡程度で、1~1.6㎡だった関東大震災と大差ありません。次に睡眠。日本は床に雑魚寝で、エコノミー症候群や細菌感染により東日本震災時には一ケ月で3%が寝たきりに。熊本人吉では珍しく段ボール簡易ベッドが採用されたが、ベッドの使用は世界水準です。次はトイレ。建築現場で使う簡易トイレが50人に1台程度。臭い、足元も便器も汚い、水や紙が不足など苦情のかたまり。世界水準は最低20人に一基、女性用は男性用の3倍。住宅並みの水洗トイレ。更に食事。災害救助法で一日三食一人11,160円以内とされご飯やパンが主体。他は缶詰などで冷たい。食堂は無く床で。西日本豪雨では4ヶ月続けて同じ菓子パンが出された例も。欧米ではキッチンカーなどで作ったファミレス以上の温かい料理を食堂で提供。栄養も考慮されて一日2,100kcal以上。法律では避難所は7日だけとなっているが実際は長期化し、その環境の悪さから生活疲労により多数が死亡。自家用車で暮らしてエコノミー症で死者も。欧米ではこれらを48時間以内に整備する法令もある。今、避難所運営は地方自治体任せですが、国が主体的に責任をもって運営することの必要性が過去から指摘されています。

これなら良いー熊本・人吉の段ボールベッド避難所 (写真産経新聞)
「入荷が災害7日後」が課題

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10/27 アナウンスを40年前に戻したロンドン交通局

 コロナのせいで外国旅行はまだお預けですが、せめてお話だけ。世界で最初にできたロンドン地下鉄はチューブの愛称で呼ばれ11路線が走ります。日本と同様に全駅で「列車とホームの隙間にご注意ください」“Mind the Gap” とアナウンスが流れますが、この駅だけその声が豊かで、ほかの駅と全く違います。背景にある愛の物語があります。2012年11月、動転した様子の女性が駅員たちにしきりと「声は何処へ行っちゃったんですか?」と尋ねていました。意味が分かりません。「声?」「そう、声よ、Mind the Gap って言ってる人よ」職員たちが、アナウンスは新しいものに取替えたのだと説明すると、彼女は言いました。「あの声は私の夫なのよ」。彼女の夫、オスワルドは王立演劇学校を出た俳優で、その5年前に亡くなりましたが、40年以上昔に録音されたアナウンスがこの駅の北行きホームにだけずっと残って使われていたのです。夫の死は彼女の心にポッカリ穴をあけました。しかし毎日通勤の途中に聞く亡き夫の声が助けになり、落ち込んだ時には暫くホームに座って今も愛する夫の声を聴くこともできた。でもそれが無くなってしまったのです。彼女は交通局に相談しました。交通局は皆で古い録音を探し出し、デジタル化してCDを彼女に提供し、さらに再びアナウンスをオスワルドの声に戻しました。ノーザン線のエンバンクメント駅北行きホームでは今も他の駅と全く異なるアナウンスが聞こえるのです。ザ・ガーディアン紙より ご覧ください https://www.bbc.com/news/uk-england-london-21719848

 エンバンクメント駅に座るマーガレット医師 https://historiclondontours.com より

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10/13 奇妙なアメリカのコロナ対策事情

 デルタ株で学校感染の懸念から学校でのマスク義務付けですが、共和党州知事の7州以上は義務付けを禁止。8月フロリダ州やテキサス州知事のマスク義務付け禁止令に対し学区(米国では市と対等の地元団体)が反抗、障害児の親達は子供を守るために訴えを起こしました。こうしてマスクとワクチンの義務化で現政権と共和党知事とで戦いが起きています。共和党の言い分はマスクやワクチンで規制されるのは個人の自由の侵害でコロナよりも怖いと言うのです。全米では63%の親がマスク義務付けを求めていますがフロリダ共和党員の72%は反対。疾病対策予防センターは、ワクチン未接種者は接種者の10倍以上入院も死亡多いと発表し大統領府も接種の圧力をかけるのですが、政治的対立で普及が進みません。ワクチン反対者は自分の体は自分の勝手と言いますが、周囲に感染させること、医療に負荷をかけることなど考えればそれは違います。北西部ワシントン州はマスク規制やワクチン接種要求をしますが、隣のアイダホ州の共和党知事による規制拒絶で感染拡大し病院は限界超過、患者が隣州に大量流出。おかげでワシントン州では脳腫瘍手術も延期などと大迷惑。ワクチンで妊娠しなくなるとか、コロナはでっち上げだとかを信じる人も。宗教的理由で拒否という人が多いのですが、アメリカの主要宗教団体は皆ワクチン支援をしています。今やワクチン接種率はG7中最低。何でもアメリカが最高とは思わないように。

 頭打ちのアメリカワクチン接種率

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9/8 中等症ってどんな程度?

 コロナの中等症患者は自宅待機、とバカなことを言った政府があります。一般には中等症は息苦しい程度、重症だと入院が必要、というイメージですが、日本の基準では中等症1と中等症2があり、米国の分類で2は重症に入ります。健康人の血中酸素飽和度SpO2は96%以上に対し中等症1では93%未満、2だと93%以下で死ぬほど苦しい。普通の人々に正しいイメージを持ってもらおうと、米国ジョージタウン大学助教の安川康介先生がイメージ図をSNSに載せています。「中等症」なるものの恐ろしさを正しく理解する必要があります。絵の中の文字が少し読みにくいですが、こうです。軽症=酸素は要らない。 中等症=人工呼吸器は要らない。肺炎が広がっている。多くの人にとって人生で一番苦しい。重症=助からないかもしれない。これは米国の基準では「重篤Critical」に相当します。人工呼吸器とは口から気管に管を差し込み酸素を送り込むもので、肺炎により肺の機能がひどく低下し血中酸素が不足するのを補います。もっと肺がやられるとECMOで血液を体外に取出し酸素を喰わせて戻す、まさに生死の瀬戸際です。身近に死亡された方がいますが、ひどく苦しがっておられたと聞きました。ワクチン接種が進んでいますが、重症化はしないまでも、デルタ株は感染し体内で増殖することが分かってきたので、マスクは外せず、元通りの生活が戻ることには簡単にはならないようです。 病床数を世界比較すると、日本は人口当たりのベッド数は先進諸国中最多のベッド大国です。しかしその病床当たりの医師、看護師の数は最低。コロナのような手数のかかる感染症となると直ちにパンクします。更に不測の感染症に金をかけられないと民営化と称して予算削減したため病床は中小民営病院に分散。イギリスではNHS(国民保健サービス)なる独特の制度で国中の大型病院を運営し、独自の診療報酬制度によってかかりつけ医と大病院を機能的に使い分けており、コロナのような緊急事態ではNHSが統率的に活動します。NHSには医療費は原則無料と安価で大組織ゆえに問題も多く決して夢の国ではないけど改革を繰り返し育て上げて行く点は、コロナの医療崩壊の反省点が見つかるかも知れません。

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8/1 ベッド大国で医療崩壊、なぜ?

 高齢患者を救急車で搬送したが車中で24時間待機、血中酸素飽和度は即入院レベルなのに受け入れ先なしと老人施設に返送。別の70代の母は脱水状態で痛くてうめき、40代息子は喘息とコロナで動けず、その妻は妊娠中でうつれば死の危険が高いがそれでも自宅待機。別の家、80代と60代の母娘家庭で母は排泄物のついた寝具に横たわるが感染した娘は動けない(中日新聞)。人口百万当り一日当りの新規感染者数は、一月頃英国は800人、フランスもスペインも300人越え、日本は5月に増えたものの50人程度と一桁少ない。欧州諸国の医療崩壊は想像を超える惨状だったでしょうが、一桁少ない日本が上記のあり様? 病床数を世界比較すると、日本は人口当たりのベッド数は先進諸国中最多のベッド大国です。しかしその病床当たりの医師、看護師の数は最低。コロナのような手数のかかる感染症となると直ちにパンクします。更に不測の感染症に金をかけられないと民営化と称して予算削減したため病床は中小民営病院に分散。イギリスではNHS(国民保健サービス)なる独特の制度で国中の大型病院を運営し、独自の診療報酬制度によってかかりつけ医と大病院を機能的に使い分けており、コロナのような緊急事態ではNHSが統率的に活動します。NHSには医療費は原則無料と安価で大組織ゆえに問題も多く決して夢の国ではないけど改革を繰り返し育て上げて行く点は、コロナの医療崩壊の反省点が見つかるかも知れません。

病床数は多いけど医師・看護師数は最低
感染は一桁少ないが医療崩壊   中日新聞

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6/1 魔法瓶のはなし

 1892年に英国の科学者がガラス製の外瓶の中に、外周に銀メッキをしたガラス製内瓶を収めた二重瓶で、内外瓶の隙間を真空にすると中身が冷めないことを発明しました。1904年にはあるドイツ人がこれを家庭用に製品化して世界に拡がりました。昔、学校で熱が伝わる方法には伝導、対流、輻射の3つの手段がある、と教わりましたが、魔法瓶では、内瓶と外瓶は口元以外では繋がっていないので熱伝導ができません。内外瓶の隙間は真空なので空気の対流ができません。内瓶外周は鏡なので輻射熱を出せません。こうして、見事に3つの熱伝達を止めるので、暑いコーヒーや氷水を一日中携帯できるのです。明治末期の1910年頃にはドイツから輸入されていましたが、1912年に電球会社に勤務していた人が電球製造技術を生かした国産化に成功、ガラス工業が盛んだった大阪で続々と魔法瓶製造会社が現れて普及が進んだようです。当初内瓶・外瓶はガラス職人が真っ赤に溶けたガラスを口で吹いて風船のように膨らます「手吹き」で製造していましたが、戦後、現在の生産が「象印」等により自動化され一挙に国内に広がりました。重いのと、落とすと割れるのが泣きどころでしたが、1978年には丈夫で軽量なステンレス製が開発され更に手軽に使えるようになっていて、今やどこの家庭でも愛用されています。「驚くべき発明なる寒暖壜」とある当時のTHERMOS社の広告。もう一つは、魔法瓶組立をする女性で日本の戦後復興を紹介するナショナルジオグラフィック誌の写真です。
  
全国魔法瓶工業組合ウェブサイトより

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5/1 風通しには入口と出口が必要

 快適な季節は意外に短いもの。そんな貴重な時期には心地よい開け放った暮らしをしたいものです。開け放つとは、風により屋内空気を外気に入れ替えることで、これを「通気」と言います。似たようで異なるのが「換気」です。こちらは暖冷房で家を締め切っていても家の空気を健康に保つため1時間に家全体の空気の半分を入れ替えするものですが、「通気」は家の中に風を通過させるものです。掃出し窓を開けた場合、家内外の温度差により外気が寒ければ開口部分の下辺から外気が流入、上部分から暖気が外へ流出、こうして内外気が入れ替わります。ただこれは通気ではありません。大気は最低毎秒0.5~1mほどの風が常にあり、この風に乗せて家の中の空気を入れ替えるのが「通気」でこれには風の入口と出口が必要です。温かい時期の、やや南からくる気流を利用するには、南窓から入った風が抜けて行く出口と、入口出口を結ぶ風の通路を確保してやる必要があります。今の家で風がどう通り抜けて行くかを簡単な絵にかいてみると良いでしょう。この時、特に夏に、1階の窓から入った空気が、家の中の暑い空気に乗って2階へ上がり窓から抜けて行く、と言うのはダメなことは実験で確認済です。空気の通路は同じ階同士で確保します。空気の出口入口は常に必要です。同時吸排気型でない台所換気扇を動かすときは近くの窓を少し開けましょう。24時間換気装置装備の家では決して給気口を閉じないようにしましょう。

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4/28 日本ではワクチンの国産は無理?

 経済に大打撃を与えているコロナ禍、収束の決め手はワクチンです。ジョンズホプキンス大学が国別に人口の何%にワクチン2回接種がされたかを公表しており、1位ジブラルタル95%、2位イスラエル57%、その他米国27%(1回以上は44%)、猛流行から立ち直った英国19%(51%)、モロッコ12%等があり62位が日本0.7%(1.7%)です(4/28)。欧米の人口百万人当りの新規感染は日本の数倍~十数倍(4/25)なので、供給が遅いとEUがアストラゼネカを訴えるようなワクチン争奪戦の最中ですから日本に潤沢に入荷しなくて当然かもしれません。ならば日本は自分でワクチンを作る力はないのでしょうか。ワクチンは開発・製造共に巨大なリスクと投資が必要で商売としては成り立ちにくい。そこでこれを国の安全保障ととらえて膨大な支援をした国の産物がファイザーなど先行各社のワクチンです。日本政府は初めからあきらめて外国頼み、事故不問など条件付きで契約しました。それでも20年度補正予算で2700憶円の国産ワクチン補助金が織り込まれましたが、米国がワクチン開発を急がせた予算は1兆円規模、急がせるだけにです。例の一律10万円の給付金の予算が13兆円だったことを考えると政府は余程日本の研究者をバカにしているようです。安全保障は軍事だけではなく、新規ウィルスの暴発も国を根底から揺さぶるもので、そのための基礎研究を国が支援することは重要です。逆に早期開発ができれば戦略物資にすらなります。最先行のアンジェス+大阪大学は既に第二段階臨床試験に進んでおり国を挙げて支援したいものです。

https://coronavirus.jhu.edu/
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4/1 ハトを襲うナマズ

 南フランスの川の砂州で水飲みに来た鳩の群れに突然水中から大きな魚が飛び出して襲い掛かり鳩をくわえて川に消える様子が目撃されました。問題のヨーロッパ大鯰(オオナマズ)、成長すると3m、270kgにもなる代物で元々東欧では食用にされていました。それを1974年にある釣り人が稚魚数千匹を持ち込みスペインの川に放流したのが西欧に広がってしまいました。これがサケやニシン科のアリスシャッドなど海から川へ産卵にくる魚を滅ぼしてしまう危険が懸念されています。これら海と川を往復する魚はただでさえダム建設や水質汚染、乱獲の影響で苦しんでおりこれら重要な回遊魚を絶滅させかねないのです。ダムではアユやサケなど産卵に遡上する魚の為の魚道やトンネルが設けられていますが、ガロンヌ川ではその水路で遡上するサケを待ち伏せ捕食するなど、狩りの技は恐ろしい。世界の魚類の半分は淡水で暮らしていますがこうした淡水生態系がダムや汚染や乱獲で絶滅の脅威にさらされ、なかでも外来種の導入が最も重大な原因だということです。日本でも釣り人が持ち込んだバスが湖や池に繁殖し問題になっているのと同じです。更に気候変動の影響がこれに拍車をかけています。大鯰の産卵には水温20℃以上が必要なのに、寒冷なベルギーやオランダの川の水温が上がり大鯰の大繁殖が見られるようです。全淡水種数は1970年から42年間で83%減少とのこと、要注意です。

鳩を狙うヨーロッパオオナマズ  ナショナルジオグラフィック より 一覧へ戻る

3/18 エスキモーになったアフリカ人

 テテ-マイケル ポマシーは西アフリカのトーゴで生まれ育った普通の少年でした。ある日、いつものように実を採ろうとヤシの木てっぺんに登りました。その時突然蛇が現れました。彼は驚いて木から墜落して、ひどくケガしてしまいました。テテ-マイケルの父は怪我を治すため彼を蛇神教団に連れて行きました。トーゴの田舎では父親の言うことには逆らえません。蛇神教は彼に教団の僧侶になるように勧めましたが、彼はそんな人生は嫌だと断って帰りました。怪我が治った後、ある日、彼は宣教師の図書室で本を物色していて「グリーンランドのエスキモー」という本を見つけました。読んでみるとそこは余りに寒いので蛇がいないことが分かりました。おー、蛇がいない!天国じゃないか。彼はすっかりエスキモーに取りつかれてしまったのです。みんなは「おまえ、頭がおかしくなったんだろ」と言いましたが、彼はとうとうトーゴを抜け出してグリーンランドへ向かいました。16歳の時のことです。船賃などある筈もなく、働きながら8年かけてついに目指す国、グリーンランドに到着しました。
 グリーンランドのエスキモー達にとって、彼は初めて見る「黒い人間」でした。テテを見るとみんな会話を止めてしまい、恐怖のあまり泣き出す子供たちもでる始末。でも族長たちは歓迎してホストになってくれ良い友達になりました。そこはアフリカとは全く別世界で、彼は彼等の言葉も、暮らしの何もかもをも学ばなくてはなりませんでした。エスキモーたちは伝統を守って暮らしていることが分かってきました。皆はアザラシの肉や白イルカの皮を食べていましたが彼は始めのうち喉を通りませんでした。だが次第に彼らの暮らしに慣れ、犬ぞりも操れるようになり、暮らしの底に流れる自由さが分かってくると共に、とても幸せを感じるようになりました。エスキモー達は彼をもっと北方へも連れて行ってくれたのですが、そこは本当に美しい景色でした。そして次第に彼はこのまま死ぬまでグリーンランドにいたいと思うようになりました。でもある時、彼はふと考えました。故郷の人々は極夜を見たこともなく、あのオーロラのウソのような美しさも知らない。永い間、植民地として支配され、平和で静かな暮らしを突然奴隷として狩られ、そんな風に苦しめられて来たアフリカ人のために、この素晴らしい暮らしのことを伝えようと決心し、故国に帰る決心をし、5年かけて本を書きました。和訳もあります。でも心の奥底では故郷になってしまったグリーンランドで命を終えたい気持ちは強いと言います。そのうちきっと帰るのでしょう。
(BBCワールド放送 歴史の目撃者シリーズより)
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3/1 寒いのは室温だけの問題ではない

 寒い時期には室温が気になります。ところが人が寒暖を感じるのは室温だけではなく、湿度や空気の流れなど住まいのいろいろな要素の影響を受けますし、もちろん着衣の厚い薄いも強い影響があります。常識的な着衣で室内に居るとき、人間は「作用温度」を体感します。作用温度は「室温と平均輻射温度MRTを足して2で割った値」、すなわち室温とMRTの平均値で、人間は「室温」と同時に同じ強さで「MRT」をも感じているということです。ではMRTとは何か?簡単な実験をして下さい。頬から2㎝離して手のひらを広げてみるとあなたは頬に温かさを感じます。冷蔵庫から牛乳パックか何か出して同じようにすると頬が冷えた感じがします。このように人は触っていなくても壁や窓や天井や床や家具や、周囲のあらゆるものの温度を輻射により感じています。こうした目に入る周辺すべてのものの温度の平均値が平均輻射温度MRTです。室温は同じでも壁や窓や床など周りの温度が低いと寒く感じます。逆に周りの壁などの温度が暖かければ、室温は低めで吸う息に涼しさを感じる程でも心地よい温感になります。ではどうしたら周りの温度MRTを下げずに済むか。1つは2重ガラス窓や断熱の良い壁や床で外の寒さが室内に伝わりにくくすること。2つめは暖房を切って壁や床を冷やしてしまわないことです。太陽熱を使った全室24時間暖房などの蓄熱床暖房の快適さの秘密はここにあります。居住快適性についての昔からの研究は下記を。
https://www.chiryuheater.jp/useful_info/sumigokochi05-03.html

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2/26 ワクチンは変異株に効くのか

 世界を大混乱に落とし込んでいる新型コロナ(COVID19)騒ぎですが、アメリカやイギリスでワクチン接種が始まりいよいよこれで普通の時代に戻れるかと期待が高まります。しかしことはそう簡単ではないようです。1月終わりごろヨーロッパ連合EUと英国製薬大手アストラゼネカ社は激しい争いをしました。それは日本の数十倍の感染が進行するEUにしてみれば当初約束通りにワクチンが供給されないことによる必死の争いでした。日本では国内生産をするようですがそれにしても皆に行き渡るにはかなりの期間がかかりそうです。供給が進んだとしても次は金持ちの先進国だけが独占して良いのかという問題があります。一方、医学的にはウイルスの変異の問題があります。当初からこのウィルスは変異力が強いと言われていた通り12月には英国でより感染力が強いB.1.1.7、南アフリカで501Y.V2が、1月にはブラジルでP1が出現しワクチンの効果が心配されました。ワクチンはウィルスが人に取りつくための突起部の蛋白質を攻撃標識としていますが、幸い今のワクチンで対応可能とのこと。これはウィルスと人間の免疫系との戦いで、敵は次々に変異して網をくぐるような新手を繰り出してきます。そこでウィルスの進化を遅らせ変異を減らす為には従来通りマスクをし、手を洗い、密着を避け、出来るだけ早期にワクチン接種をすることが必要と専門家は言います。じゃあ今までと変わらないじゃないか?そう、当分ダメのようですね。
(アストラ社のは南ア変異に効果が悪いという話が出てきました21.02.07)

一日最大5千人にワクチン接種する英国グラスゴーの病院 BBCより
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1/25 新型コロナ、1週間で感染力なし? 

 身内が新型コロナに罹ったため隣近所からあたかも病原菌のように見られ、止む無く集合住宅を引っ越す羽目になった、という話は珍しくないようです。患者や濃厚接触者はどれ程、いつまで危険なのでしょうか。昨年5月に台湾の研究チームが100人(内9人無症状)の感染者とその濃厚接触者たち2,761人を丁寧に追跡調査し論文を出しました。濃厚接触者のうち感染したのは22人でしたが、22人はすべて元の感染者の発症から5日目以前に接触していました。発症よりも前、感染に気付かないうちに接触した人も感染、医療関係者よりも家族親族内の感染率が高かった。発症前の接触だけで感染した例もありました。無症状者から感染した人はいませんでした。結局、発症から一週間もすると感染力がなくなるようです。身近に高熱で入院が二人、軽い風邪熱一日程度のほぼ無症状が一人いましたが、いずれも退院時にPCR検査はされません。風邪熱氏は保健所放免直後に自主検査したらウィルスがいましたがその後消えました。多分居ても感染力は無かったのでしょう。メディアは感染数で煽って脅すのも必要でしょうが、周囲から「不潔」扱いされ白い目で見られる罹患者を思うと治癒後のことも正しく報ずるべきです。これは台湾の研究チームの論文ですが、コロナ初期の頃、発熱が3日続かないとPCR検査はしてもらえず、検査結果が出るのにまた3日。これで発症後一週間経過し感染力は消滅。それから2週間の無意味な閉じ込めをやっていたとは。

重症患者と戦う医療従事者(BBCニュースより)
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1/1 「ためしてガッテン」の誤解

 NHKの「ためしてガッテン」で家の中に虫が一杯入る例をあげ、サッシの角辺りからクモなどが次々に吸い込まれる映像と共に「家が虫を吸い込む」という紹介をしていました。原因は換気扇による吸引で、対応としては計画換気用の吸気口を開くと良いとのこと。この家では換気のためレンジフードファンを常時運転しているとのこと。私は「こりゃあ大間違いだ」と驚きました。昔と今のサッシの違い、24時間換気システムとレンジフードファンの違いを混同して報道されたのです。昔のアルミサッシは確かに隙間だらけでしたが、近年使われるアルミ樹脂複合二重ガラスサッシには虫が吸い込まれるような隙間はありません。24時間換気が義務付けられたのは2003年のことで、それ以前の住宅にはトイレと浴室とレンジファンだけで給気口などありません。義務付け後の住宅も確かな吸引力を持つセントラル型換気は少なく、多くは吸引力が低い各室パイプファンのため虫まで吸い込む力はありません。もっとも給気口を閉めている家が多いのは空気質維持の点から良くありません。この放送の最大の欠陥は、24時間換気とレンジフードファンを混同していることです。換気ファンは家全体で毎時140㎥の排気、レンジファンは毎時550㎥と4倍近く強力です。換気用給気口は強風時に吹込みがないよう毎時28㎥以上の流入を抑制しますので、とうていレンジファンの排気をカバーできません。そこで同時給排気レンジファンが必要になります。さもなくば料理の時は台所近くの窓を少し開けるのが正解です。
同時給排気型レンジフードファン
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